バリアフリー / ハンディキャップユーザー

  • 2001年4月20日:作成
  • 2018年10月6日:全面改訂

身体的ハンディを持つ方にとってPCとインターネットはハンディを埋め合わせ、コミュニケーションを確保する手段として健常者以上の価値を持つと言われています。しかし、情報提供側の個々の障害に対する理解と配慮がなければ情報の共有は困難であり、ネット情報の増加と共に、再び情報弱者へと追いやってしまう可能性があります。

身体的ハンディを持つ方の場合、新しいOSやソフトの使用方法、新しいPCのスイッチやキー配列の修得に、健常者以上のエネルギーと時間を必要とします。使用する支援ソフトとの関係もあり、結果として最新のPC環境でない場合も珍しくありません。

またこのハードルのため、身体的ハンディを持った方が、同時にITが不得意なユーザーである可能性もあるのではないかと想像します。

視覚障害

モノクロ表示のシステムカラー16色
モノクロ表示のシステムカラー16色

レイアウトを優先し文字サイズを固定してしまうと、拡大することができなくなり、弱視の方は閲覧が困難になります。

文字と背景に同系色を組合せたり、情報を「○色が△△です」のように色で表現してしまうと色弱の方は情報を得にくくなります。例示のカラーチャートは擬似的なイメージ*ですが、通常なら簡単に識別できるシステムカラー16色ですらモノクロになると判別が困難になります。

*これは参考にならない説あり。

スクリーンリーダーを使用すれば、全盲の方でも文字情報を音声化して利用することが可能ですが、提供側の配慮がなければスムースな読上げは望めません。また、先頭から順番に読上げないと目的の情報にたどり着けない(つまり斜め読みができない)特性があり、サイト構成によっては快適な閲覧が難しくなります。

スクリーンリーダー向けの最適ページは正しいHTMLによるベタ書きで、Scriptが多用されると利用困難になります。ページトップやサイドのメニュー群をスキップできるようにする(ナビゲーションスキップ)、重要な情報は文字で表現する、内容に関係する画像の代替情報(alt文)は省略しない*、フレームを使用しない(今時いないとは思いますが)、各ページに解り易い固有タイトルを付ける、読上げの邪魔になるBGMは止められるようにする、などの配慮で利便性は向上します。

*W3Cは改定で省略も認めましたが、私はそれに反対します (~_~)/

以前は高価なIBMホームページリーダー(音声ブラウザ)以外の選択肢はほぼありませんでしたが、現在ではフリーのスクリーンリーダーも複数存在しますから、その特性や操作性は簡単に確認できます。私はインストール不要のNVDAを使用しています。

聴覚障害

特殊なコンテンツになると思いますが、音声のみで情報を提供すると伝わりませんから、その内容を解説する代替えテキストは必須です。

また、スクリプトやフォームの完了/失敗をアラーム音だけで表現すると、趣旨が通じなくなりますから、画面上に視覚サインも表示する必要があります。この情報がテキスト化されていれば、スクリーンリーダー対策にもなります。

肢体障害

デザインを優先しリンク領域が小さい、リンクが接近して複数配置された、そのような場合、手の不自由な方は正しいボタンをクリックすることができません。階層の深いサブメニューを持ったプルダウンのように、画面遷移に従って次々に正確にカーソルを移動させなければならない状況も困難が伴います。

この問題は、障害はなくても運動機能が落ちていく高齢の方も同様であり、同時にタッチ系OSでも障害に成り得えます。

注意力・集中力の欠如

ADHDのように、注意力や集中力に欠ける幾つかの障害があります。そうした閲覧者では画面上に動き続けるオブジェクトがある、BGMが流れ続けると言った場合に、本文に集中できず結果として情報が利用できなくなってしまうと言われています。そのようなコンテンツは、閲覧者が明示的に開始を選択できる、少なくとも停止できる機能が必要です。

以下はIE4時代のMS独自拡張タグ<marquee>で表示した“迷惑のサンプル”です。現時点でもサポートするブラウザがありますが、その場合たぶん止める方法はありません。正直、誰であっても気が散ります。

この1行スクロール、以前は結構普通に見かけました

また、そうした方の場合、ページ毎に配色、レイアウトやナビゲーションが異なることも集中力を削ぐ要因となり得るので、可能で有ればサイト全体で、少なくとも同項目内の一連のページではフォーマットの統一が望まれます(ハンディの有無とは無関係に、統一イメージの無いサイトは好まれない気がします)。

ロボット

Google等のロボット(単にボットとも)がサイト内容を解析し索引化することによって、各サイトは検索表示されますが、実はロボットが一番のハンディキャップユーザー、情報弱者です

Google検索「Windows 開発環境 フリー」で「時代おくれ」は2,340万件中の11番目に表示された
2018.10.12の「時代おくれ」検索結果

正しいHTMLしか理解できず(HTML記述がすべて、表示は見ない、行間は読まない)、スクリプト対応は貧弱で、とサイト作成者の意図を反映しない不適切な索引化が行なわれている可能性があります。

これまでに示した問題に対応することで、ロボットにも読める正しいページとなり、検索結果の上位表示につながると私は確信しています。大した内容のない「時代おくれ」の検索順位が(日によって変動はありますが概して)そこそこ高い理由は、これに違いありません (^^ゞ


項目の目次に戻る サイトのトップに戻る