著作権研究所 / 世界の著作権

  • 2001年5月28日:作成
  • 2017年12月1日:法改正の反映、個人的見解の削除(移動)

ルーツと現在

著作権に類する法律は15世紀にヨーロッパで印刷機が発明されたとき、印刷物を検閲統制し更に税金を徴収したい国王や教会と、海賊版を排除して利益を独占したい出版ギルドの利害関係が一致して生まれました。したがって、著作者の権利の保護を目的にしていたわけではありません。その後、紆余曲折を経て現在の、著作者の権利を保護し、かつ、情報の円滑な流通を促すための法律となりました。

著作物は著作者の許可を得た特定の個人が、個人的に使用すると言う原則のみなら、著作者の権利は守られ全く問題は発生しませんが、情報が流通しなくなってしまいます。そのため、著作権を守る規則に加えて情報を流通させるために著作権を制限する規則もあるわけですが、著作者は著作物を守ろうとし、利用する側は自由に利用しようとするので、その解釈や運用でトラブルが発生しています。特に最近の社会のデジタル化は、法律が想定していない事態を引き起こし、問題は複雑怪奇なものになっています。

国際条約による取り決め

国によって著作権に関わる法律は異なります。インターネットも普及しボーダーレス・国際化が進むなかで、国ごとに法律が違うこともトラブルの原因となっていますが、現在、国際著作権法と呼べるものは存在しません。国際条約により必要最低限の項目だけが取り決められています。

アメリカ大陸のパン・アメリカン条約(1910年)は方式主義を採用し著作物は登録しないと守られないことになっています。一方で、ヨーロッパ、アジア、アフリカ諸国(つまりアメリカ以外)が加入しているベルヌ条約(1886年)は無方式主義で、著作権は自動的に発生し、登録は不要としています。このままではアメリカは外国の著作物を自由に使用できるが、アメリカの著作物は諸外国では保護対象物となり、著しい不公平が生じます。そこで、両条約を結ぶ形で万国著作権条約(1955年)が締結されました。これがよく見かける『マルシー表示』の根拠で、(C)記号・著作権者名・最初の発行年が表示されていれば方式国でも無方式国の著作物が保護されることになっています。

著作権の保護期間は国によって25年(イラク、ケニアなど)から100年(メキシコ)と様々ですが、アメリカ合衆国や日本など大多数が50年を採用しており、ヨーロッパは70年を採用しています。

2017.12.1:追記 アメリカ合衆国は没後70年(映画などは95年、2003年米最高裁で確定)に、日本でも映画のみ70年に延長されています。


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