公共機関のホームページ / 双太陽青93

  • 2001年4月20日:作成
  • 2003年8月28日:構成変更/1加筆/6追加
  • 2017年12月21日:新レイアウト適用と若干の追記

開設の理由~開設されるまで / 2001.04.20

公共機関のホームページは現場職員がインターネットの価値を認め、ネット広報の必要性を感じた時でなく、中央から無理やり予算を配分された時に、しかたなく開設されます。余分な業務が増えたと、全員渋い顔です。

開設が決まったとなれば適当な担当者の人選が行なわれます。ここで言う適当とは知識や経験があると言う意味でなく、新規事業にふさわしい、それなりの年格好の人物が選ばれます。当然、インターネット世代の若者は選ばれません。選ばれた担当者は最初は素人ですが、その後も勉強することはなく、素人のままです。それで大丈夫なのかと言うと、ホームページ作成は税金で外注するので大丈夫です。少なくとも彼は困りません。

さて、担当者がインターネットやIT全般に興味も知識もないとなれば受注企業の思いのまま、互換性、親和性を盾に、ハードウェアは割高な、往々に型遅れな自社製品でかためます。彼らの説明を聞いていると、インターネット上で他社製サーバーに接続した瞬間に、こちらのパソコンが爆発するのではないかと恐怖に襲われます。この馬鹿げた説明に担当者は納得し、見直し無しに提示された機器構成のまま契約しま す。自分の金じゃないから値切ったりもしません

一応商売ですから、ホームページの使用目的と情報提示形式について企業側は要望を 聞きますが、担当者は「普通のホームページです」を連呼するばかり*で埒があきません。無理もありません、彼は一度もインターネットを利用したことがないのですから。納期になると企業側は施設の紀要や要覧を参考に、適当なホームページを納品してきます。さすがにプロフェッショナルです。フルカラーグラフィックスは美しく、フレームやJavaを多用し、デザインも素晴らしく芸術的才能に欠ける私には、どれがボタンだかわかりません。

2017.12.21:追記 *全国区の大手企業はこれでは責任を持って引き受けられないと、入札説明会の段階で撤退、残った地元企業からIT本業ではない事務機屋が落札、予想通りの使えないシステム(しかもApple)が納品されました。当時は対岸の火事、馬鹿笑いしていたのですが、数年後、何の因果かその後始末が自分に回ってきてしまい・・・ (T_T)

でき上がった激重ホームページは、高速専用回線から、あるいはネットワーク内部から、ひどい場合はパソコンのHDから直接提示されます。もちろん最新の高速パソコンを使用し、事前にキャッシュに読みこませてあります。アニメーションもあってカラフルで見栄えのよい、素人受けのするページが瞬時に表示され、担当者は内容でなく、見栄えに大満足します

このHTMLは旧版ブラウザに対応していないとか、この構造では旧型パソコンではスムーズに表示できないとか、アニメーションを多用したから通常回線では表示に時間がかかるとか、そんな説明は一切ありません(仮に説明があっても担当者は理解できないから無意味ですが)。音声ブラウザが話題に上ることは、金輪際ありません

2017.12.21:追記 当時は音声ブラウザ(ほぼIBMホームページリーダー一択)でしたが、現在ではPC全体を音声化するスクリーンリーダーが主流になっています。

またコンピュータのプロである彼らの常識で作られたページを彼ら自身がすいすいと操作して、こんなに簡単と証明されます。しかし、担当者は施設の代表であるので、無修正で納品確認と言うわけにはいきません。全員の意見を集約したうえで1箇所だけ修正を求めます。必要ないからメールの送信ボタンを削除するようにと

注記: しかし、一方的に企業側が悪いわけではありません。もしも担当者が公共機関の情報提供の有り方やバリアフリーについてしっかり勉強して、情報弱者対策も含めて発注していれば、プロですからそれなりのものが納品されたでしょう。企業側の判断で発注時の注文と無関係に、情報弱者対策を施したページを納品したとすると、無知な担当者から、見栄えがしないと責められるに決まっています。だからと言って、企業側には担当者を説得する義理も、教育する義務もないのですから

開設はしたものの

検索エンジン1 / 2001.04.20

無事開設できたのですが、予想もしない緊急事態の発生です。大手検索事業者にホームページが登録されてしまったのです。このままでは閲覧者がやってきます。あそこは登録してから、その旨メールで「差支えがあればご連絡下さい」と通知してくる事後承諾方式です。

担当者がメールに気づくのに1日、緊急会議で1株1億円(当時、今は知らない)の民間営利団体には協力しないと決定するのに1日、担当者がメーラーと格闘して検索エンジン登録拒否のメールを送信するのに1日で、3日後には迷惑な検索エンジンから削除されました。

しかし、すでにどこかからリンクされています。これでは意味がありません。早速、トップページにリンク禁止の1行を追加し、リンク解除要請を試みます。訪問者のルートを追跡するなんて論外、悲しいことに検索エンジンで探す知恵もなく、どこからリンクされているのか分りません。リンク解除作戦は挫折し、今日もどこかから迷惑な閲覧者がやってきます。

検索エンジン2 / 2003.08.28

上司に呼ばれ「検索するといっぱい出てくるがどれが本物なんだ?」と質問されました。確かに公式ページに先行して民間で作られた紹介ページが、多数HITしています。削除したはずの本物も何時の間にか復活しています。本物はともかく、民間人が御上の施設の紹介ページを勝手に開設するなど言語道断、許されません。担当者は、「サイト閉鎖の勧告文(もちろん正式な公文)」を送付する起案決済の準備に入りました。

しかし、内部から意外な反論が起こります。担当でも無い素人、しかも下っ端の若造どもが「観光ガイドブックやタウンページと同じで許諾を与える性質のものでは無い」と意味不明な事を言い出したのです。多勢に無勢、敵は大勢味方は一人、担当者は言い負けて民間紹介ページは黙認される事になりました。担当者は今日も忌々しい思いで検索結果を眺めます。

注記: もしも「サイト閉鎖の勧告文」を発送していれば、特殊な意味ではありますが、日本一有名な施設とサイトになれたのに、彼は機会を逸してしまいました (^_^;)。

メール1 / 2001.04.20

一難さってまた一難、送信ボタンも無いのになぜか閲覧者からのメールが来てしまいました。機密漏洩です。

メールをプリントアウトして処遇を検討中に担当者は重大なことに気がつきます。プリントアウトしてしまったのでこれは文書です。文書による質問には正式な手順を経て回答しなければなりません。質問と回答は起案決済にまわされ、数週間後に『お尋ねの先月の休館日は、4日、11日、18日、25日です』と返信されますが、もう役に立ちません。

メールなどと言う迷惑な機能のために担当者は業務が増えてしまいました。メールは文書ですから、すべてプリントアウトして文書綴りに保存するのです、たとえエロサイトのDMでも・・・

注記: 後日、非常に貴重な資料となった可能性もあったのですが、惜しい事に担当が1年で交代したので、1年分しかありません。読み返して思わず興奮、こんなにドキドキする文書綴りをほかに見たことはありません (^^ゞ。

メール2 / 2003.08.28

関連機関から資料をメール添付で送れと言ってきましたが、メールは便利、クリック一発で送信完了です。ところが、届いていないと言う督促メールが来ました。何度送りなおしても結果は同じ、『届いていない』です。どうも先方の担当者はメールの開き方も判らない素人のようです。

実はこの取込みの最中、さらに担当をイラつかせる事が起こっていました。心当たりの無い外国人からメールが繰り返し着信していたのです。そう言う不信メールは開封しません、即刻削除です。さすがにIT担当者、素人とは違います。しかし、差出人の『なんとかDaemon』と言う外国人はかなりしつこい性格らしく、何度も何度も送信してきます

無意味なメールの送信と削除で1日が潰れてしまいました。無知な関連機関IT担当者としつこい外国人には閉口します、本当に迷惑な話です。

注記: 結末は、事態に気付いた先方の担当者から『新規でなく、これに返信せよ!』と言う指示があり一件落着となりました。その後も時折Daemonさんからのメールが届きますが、即刻削除されています (^_^;)。

予算請求 / 2001.04.20

事業初年度の開設費用や回線契約料は自動的に配分されてくる予算ですが、次年度以降はこちらから請求しないと予算はつきません。と言うことは、ついうっかり、次年度の回線契約料の予算請求を忘れたら、ホームページは自動的に公開不能となってしまいます。と言うことで彼らは静かに事業初年度が終わるのを待っているのです。何も企んでいません。

万が一にも、公開不能になってしまうと、サーバーなどの備品類が活用されていないことが監査で問題になることが予想されます。でも大丈夫、たぶんその頃には本人は転勤しているから他人事です。某施設ホームページ開設の輝かしい業績が評価され、転勤先でもインターネット事業担当者に選ばれる事でしょうそうして、ネバーエンディングの世界に突入するのです

もちろん次の担当者が困らない様に、素晴らしい業務引継ぎ文書を用意してあります。回線契約料が確保されたとしても、システムには若干の問題があるので即時再開には疑問がある。長期の、できれば無期限の運用停止にして万全の調整を行なうようにと

2017.12.21:追記 当時は施設個別にサーバを持つことが多く、コストメリット的には問題もありましたが、専用回線とセットでそれを私物化し好き勝に手自由自在に管理する醍醐味はありました (^_^;)

更新1 / 2001.04.20

出し忘れた予算は、本庁の査定官が気が付いて復活してくれました。有り難くて涙が出そうです(T_T)。ホームページは無事存続ですが、開設時のまま更新されません。そのうち閲覧者から苦情がきますが、担当者は更新の方法を知りません。HTML?メモ帳?論外です。ほとんどの担当者はパソコン自体が使えません

でも大丈夫、ホームページ更新も外注です。とんでもない額を請求されるのですが、「この私にできない高度な作業」だからと、納得します。なんと言っても税金ですから、自分の懐は痛みません

更新2 / 2003.08.28

ところが、財政難の折、ホームページ更新外注予算が切られてしまいました。担当者は渋々と超有名HTMLエディタを購入、マニュアル片手に四苦八苦、やっとの思いで更新です。更新作業も無事終了、嬉しさ余って関連機関に片端から電話やFaxで更新を告知します。メールを使わないあたりがさすがに玄人、IT担当者です!

しかし、その反響はまさに青天の霹靂、「なぜネットスケープで表示できなくなったか」・・・です。これだから素人は困ります。IEとNNがこれだけ歩み寄った状況で、NNに表示させないと言う超高等テクニックを理解してくれません。しかたなく担当者は注意書きを加えます・・・・「当ホームページはインターネット・エ クスプローラ専用です」と。

注記: 誰が見ても(ってNNでは見ることもできない)問題のあるページの事例として重宝していたのですが、残念ながら、2003年5月頃、NNでも7~8割の情報が表示できるようになってしまいました (^^ゞ。

更新3 / 2003.08.28

興味はなくとも目の前にパソコンがあると、Netを徘徊する事もあります、ほかにする事も無いし。Webアクセシビリティ・・・新しい言葉を発見しました。色々な問題点が指摘されていますが、手始めに旧型機種の画面サイズ対策を取ります。

情報量が減ったり判り難くなっては意味がありません、本末転倒です。当然、内容・構成とレイアウトはそのままで文字ポイントを落として横幅をVGAの640ピクセルに対応させます。文字が小さく読み辛くなりましたがそれは些細な問題、より広い視点でアクセシビリティ対策は一歩前進しました。

2017.12.21:追記 サーバー更新に合わせ、文字サイズを変更できるように外注しましたが、ページレイアウト(行文字数)固定を譲らなかったため、文字を大きくすると画面からはみ出して異様に読み辛くなりました。レイアウト固定を譲らない理由が、行政文書は正確でなければならない、欠落があってはならない、なのであればPDF提供も選択肢になり得ますが、たぶん彼(ら)はPDF化の方法を知りません。

備品購入1 / 2001.04.20

ITとは直接関係ありませんが、彼らは税金で購入した備品を大切にします。停電で壊れてしまわない様に、午前9時に職員が出勤してからインターネットサーバーの電源を入れ、午後5時に電源を切ってから職員は帰ります

無人の休日に電源ONのまま放置するなんて無謀なことは絶対しません。夜中や休日に自宅からアクセスしたいと言う不埒者のために、大切な備品が壊れたら大変です。トップページには開館時間、休館日そしてインターネット運用時間がきちんと表示されています。

残念ながら後を引き継いだ担当者の意識が低く、サーバーの電源を24時間入れっぱな しにしてしまいました。前担当は転勤先で心を痛めていることでしょう。

注記: この当時、1998~2000年頃のリース価格と購入価格を天秤にかけ、IT関連デジタル機器が生鮮食料品にも等しい事を勘案すれば、購入するのは税金の無駄でした (~_~メ)。

備品購入2 / 2003.08.28

あるとき自治体のIT担当者が「生鮮食料品にも等しいIT関連デジタル機器はリースが適当である」と、気が付きました。税金は有効に使用するべきですから、IT関連デジタル機器はどんなに安くても、購入禁止、すべてリースです。

リースに保守管理は必須ですから、大手メーカーの高価なパソコンに定価の2~3倍のリース料(期間トータル)を支払います。これなら購入の場合と違いハードの陳腐化を防ぐ事ができます、5年リースですが・・・

注記: 2000年以降の実売価格の大暴落で、購入して2年毎に総入換えしてもリースに比べれば割安で、廃棄ではなく福祉施設などに提供できれば一石二鳥です。それこそパーツを購入して「施設オリジナル」を組み立てれば常時最新スペックで使用しつづけても、リース価格には遠く及びません・・・タイミングずれの購入禁止令に何の意味があろうか (~_~;)。

2017.12.21:追記 中小のリース業者は、量販店の特売品に長期保証(通例5年)を付けて購入、それを定価(相場価格)換算のリース物品としているそうです。データ消失の責めは負わない契約なので、トラブル時には事前に準備した予備機と交換、回収した故障品は量販店送りにして保守完了、保守要員を確保する必要もなく大変おいしい商売だと・・・それで良いなら、直に購入しましょう!と何度も提案するが聞き入れてもらえない (T_T)。

閉じたWWWeb?構想 / 2003.08.28

各施設のIT担当者は県のIT担当課と共に会議を行ない、住民の為に様々な企画立案を行ないます。今日も会議で画期的な構想が打ち出されました。

一般には知られていないがすべてのインターネットは東京を経由しており、表面上は県内の通信であってもネット全体のレスポンスに悪影響を与えている。また、県民全体が負担する通信費も莫大であり、東京で災害が起こると県内の通信も隔絶する。そこで、我が県は県内に専用通信網を敷設、県営アクセスポイントを多数設置、広く県民に提供する。もちろん、不正なアクセスやウイルスなどから県民を守るため、県内で完結する閉じたWebであり、既成のWWWebとは一線を画する

完成した暁には内外から賞賛されるだろう、素晴らしい、と担当者の自慢ばなしは続きます。

注記:これは、県内にプロバイダが存在せずほとんどがダイヤルアップの1995~1996年頃の状況です。が、しかし、この構想は昔話ではありません。2003年現在、現在進行形で予算が付いています・・・我が県のIT担当課は本物の○○であると考えられます。

まとめ・・・られません / 2003.08.28

税金使って何でも外注、使い果したら『予算無いからできません』って・・・開いた口が塞がりません、アゴの骨が外れそうです。税金返せと叫びたくなります 凸(~_~メ)。お前も仲間だろうって?違います、私は正規職員ではないので“魂はレンタル”です。まだ悪魔に魂を売った覚えはありません (^^ゞ。

あ~、くどいようですが、以上は私の妄想で、いかなる組織団体とも関係ありません。仮に日本のどこかによく似た事例があったとしても、それは偶然の一致です (^^ゞ。

妄想は続き、双太陽黄17に突入します。


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