公共機関のホームページ |
2001年4月20日作成 |
国策としてIT革命が叫ばれています。政治家も役人も気が違ったように叫んでいます。 しかし、その叫びは行政の現場職員には届いていないようです。 その一例が公共機関のホームページです。広報目的で開設していなが らリンク禁止だったり、バリアフリ ーが鉄則なのにバリケードで防衛し ていたり、メールアドレスが表示されているのにメ ールでの質問が禁止だったり、民間人には理解できない現象が多々あります。 その理由を知りたいのですが、公務員には民間人にはわかりにくい規則や慣習があり、 また守秘義務があるため質問しても口を割りません。となれば、想像するしかありません。 そこで、私の独断と偏見と妄想に基づき考察を試みまし た。以下の内容はあくまで妄想で、私が体験 したことでも目撃したことでもありません。このところ酒の飲み過ぎで アル中ハイマーも発症していますので、真剣に読まないで下さい(^_^;)。 注記:この妄想の始まりは1999年4 月頃であり、以降、現在(2003年8月)までの妄想を再構成して並べ直してあります。 そのため、前後で社会的情勢など食い違っている部分もありますのでご了承下さい。 また、 一部ネタが『旧石器人用語集』と使いまわされている事をお詫び致します m(__)m。 |
開設の理由〜開設されるまで |
公共機関のホームページは現場職員がインターネットの価値を認め、ネット広報の必 要性を感じた時でなく、中央から無理やり予算を 配分された時に、しかたなく開設されます。余分な業務が増えたと、全員渋 い顔です。 開設が決まったとなれば適当な担当者の人選が行なわれます。ここで言う適当とは知 識や経験があると言う意味でなく、新規事業にふさわしい、それなりの年格好の人物が選 ばれます。当然、インターネット世代の若者は選ばれませ ん。選ばれた担当者は最初は素人ですが、そ の後も勉強することはなく、素人のままです。それで大丈夫なのかと言 うと、ホームページ作成は税金で外注するので大丈夫です。少なくとも彼は困りません。 さて、担当者がインターネットやIT全般に興味も知識もないとなれ ば受注企業の思いのまま、互換性、親和性を盾に、 ハードウェアは割高な、往々に型遅れな自社製品でかためます。彼らの説明 を聞いていると、インターネット上で他社製サーバーに接続した瞬間に、こちらのパソコ ンが爆発するのではないかと恐怖に襲われます。この馬鹿げた説明に担当者は納得し、見 直し無しに提示された機器構成のまま契約しま す。自分の金じゃないから値切ったりもしません。 一応商売ですから、ホームページの使用目的と情報提示形式について企業側は要望を 聞きますが、担当者は『普通のホームページです』 を連呼するばかりで埒があきません。無理もありません、彼は一度もインタ ーネットを利用したことがないのですから。納期になると企業側は施設の紀要や要覧を参 考に、適当なホームページを納品してきます。さすがにプロフェッショナルです。フルカ ラーグラフィックスは美しく、フレームやJavaを多用し、デザインも素晴らしく芸術 的才能に欠ける私には、どれがボタンだかわかりません。 でき上がった激重ホームページは、高速専用回線から、あるいはネットワーク内部から、 ひどい場合はパソコンのHDから直接提示されます。もちろん最新の高速パソコンを使用 し、事前にキャッシュに読みこませてあります。アニメーションもあってカラフルで見栄 えのよい、素人受けのするページが瞬時に表示さ れ、担当者は内容でなく、見栄えに大満足します。 このHTMLは旧版ブラウザに対応していないとか、この構造では旧型パソコンではスム ーズに表示できないとか、アニメーションを多用したから通常回線では表示に時間がかか るとか、そんな説明は一切ありません(仮に説明があっても担当者は理解できないから無 意味ですが)。音声ブラウザが話題に上るこ とは、金輪際ありません。 またコンピュータのプロである彼らの常識で作られたページを彼ら自身がすいすいと 操作して、こんなに簡単と証明されます。しかし、担当者は施設の代表であるので、無修 正で納品確認と言うわけにはいきません。全員の意見を集約したうえで1箇所だけ修正を 求めます。必要ないからメールの送信ボタン を削除するようにと。 注記: しかし、一方的に企業側が悪いわけではありませ ん。もしも担当者が公共機関の情報提供の有り方やバリアフリーについてし っかり勉強して、情報弱者対策も含めて発注していれば、プロですからそれなりのものが 納品されたでしょう。企業側の判断で発注時の注文と無関係に、情報弱者対策を施したペ ージを納品したとすると、無知な担当者から、見栄えがしないと責められるに決まってい ます。だからと言って、企業側には担当者を 説得する義理も、教育する義務もないのですから。 |
開設はしたものの/その後の展開 |
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無事開設できたのですが、予想もしない緊急事態の発生です。大手検索事業 者にホームページが登録されてしまったのです。こ のままでは閲覧者がやってきます。あそこは登録してから、その旨メールで 『差支えがあればご連絡下さい』と通知してくる事後承諾方式です。 担当者がメールに気 づくのに1日、緊急会議で1株1億円(当時、今は知らない)の民間営利団体には協力し ないと決定するのに1日、担当者がメーラー と格闘して検索エンジン登録拒否のメールを送信するのに1日で、3日 後には迷惑な検索エンジンから削除されました。 しかし、すでにどこかからリンクされています。これでは意味がありません。 早速、トップページにリンク禁止の1行を追加し、 リンク解除要請を試みます。訪問者のルートを追跡するなんて論外、悲しいことに検索エ ンジンで探す知恵もなく、どこからリンクされているのか分りません。リンク解除作戦は 挫折し、今日もどこかから迷惑な閲覧者がやってきます。 |
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上司に呼ばれ『検索すると無数に出てくるがどれが本物なんだ?』と質問さ れました。確かに公式ページに先行して民間で作られた紹介ページが、無数にHITして います。削除したはずの本物も何時の間にか復活しています。本物は ともかく、民間人が御上の施設の紹介ページを勝 手に開設するなど言語道断、許されません。担当者は、『サイト閉鎖の勧告 文(もちろん正式な公文)』を送付する起案決済の準備に入りました。 しかし、内部から意外な反論が起こります。担当でも無い素人、しかも下っ端の若造 どもが『観光ガイドブックやタウンページと同じで許諾を与える性質のものでは無い』と意 味不明な事を言い出したのです。多勢に無勢、敵は大勢味方は一人、担当者は言い負けて 民間紹介ページは黙認される事になりました。担当者は今日も忌々しい思いで検索結果を 眺めます。 注記:もしも『サイト閉鎖の勧告文』 を発送していれば、特殊な意味ではありますが、日本一有名な施設とサイトになれたのに、 彼は機会を逸してしまいました (^_^;)。 |
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一難さってまた一難、送信ボタンも無いのになぜか閲覧者からのメールが来 てしまいました。機密漏洩です。 メールをプリントアウトして処遇を検討中に担当者は重大なことに気がつきま す。プリントアウトしてしまったのでこれは文書 です。文書による質問には正式な手順を経て回答しなければなりません。質 問と回答は起案決済にまわされ、数週間後に『お尋ねの今月の休館日は、4日、11日、18日 、25日です』と返信されますが、もう役に立ちません。 メールなどと言う迷惑な機能のために担当者は業務が増えてしまいまし た。メールは文書ですから、すべてプリント アウトして文書綴りに保存するのです、たとえエロサイトのDMでも・・・ 注記:後日、非常に貴重な資料となっ た可能性もあったのですが、惜しい事に担当が1年で交代したので、1年分しかありません。 読み返して思わず興奮、こんなにドキドキする文書綴りをほかに見たことはありません (^^ゞ。 |
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関連機関から資料をメール添付で送れと言ってきましたが、メールは便利、 クリック一発で送信完了です。ところが、届いていないと言う督促メールが来ました。何 度送りなおしても結果は同じ、『届いていない』です。どうも先方の担当者はメールの開 き方も判らない素人のようです。 実はこの取込みの最中、さらに担当をイラつかせる事が起こっていました。心当たり の無い外国人からメールが繰り返し着信していたのです。そう言う不信メールは開封しま せん、即刻削除です。さすがにIT担当者、素人とは違います。 しかし、差出人の『なんとかDaemon』と言う 外国人はかなりしつこい性格らしく、何度も何度も送信してきます。 無意味なメールの送信と削除で1日が潰れてしまいました。無知な関連機関IT担当 者としつこい外国人には閉口します、本当に迷惑な話です。 注記:結末は、事態に気付いた先方の 担当者から『新規でなく、これに返信せよ!』と言う指示があり一件落着となりました。 その後も時折Daemonさんからのメールが届きますが、即刻削除されています (^_^;)。 |
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事業初年度の開設費用や回線契約料は自動的に配分されてくる予算ですが、 次年度以降はこちらから請求しないと予算はつきません。ということ は、ついうっかり、次年度の回線契約料の予算請 求を忘れたら、ホームページは自動的に公開不能となってしまいます。と言 うことで彼らは静かに事業初年度が終わるのを待っているのです。何も企んでいません。 万が一にも、公開不能になってしまうと、サーバーなどの備品類が活用されていない ことが監査で問題になることが予想されます。でも大丈夫、たぶんその頃には本人は転勤 しているから他人事です。某施設ホームページ開 設の輝かしい業績が評価され、転勤先でもインターネット事業担当者に選ばれる事でしょう。 そうして、ネバーエンディングの世界に突 入するのです。 もちろん次の担当者が困らない様に、素晴らしい業務引継ぎ文書を用意してあります。 回線契約料が確保されたとしても、システムには若干の問題があるので即時再開には疑問 がある。長期の、できれば無期限の運用停止にし て万全の調整を行なうようにと。 |
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出し忘れた予算は、本庁の査定官が気が付いて復活してくれました。有り難 くて涙が出そうです(T_T)。ホームページは無事存続ですが、開設時のまま更新されませ ん。そのうち閲覧者から苦情がきますが、担当者は更新の方法を知りません。HTML? メモ帳?論外です。ほとんどの担当者はパソコン 自体が使えません。 でも大丈夫、ホームページ更新も外注です。 とんでもない額を請求されるのですが、『この私にできない高度な作業』だからと、納得 します。なんと言っても税金ですから、自分の 懐は痛みません。 |
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ところが、財政難の折、ホームページ更新外注予算が切られてしまいました。 担当者は渋々と超有名HTMLエディタを購入、マニュアル片手に四苦八苦、やっとの思 いで更新です。更新作業も無事終了、嬉しさ余って関連機関に片端から電話やFaxで更 新を告知します。メールを使わないあたりがさすがに玄人、IT担当者です! しかし、その反響はまさに青天の霹靂、『なぜ ネットスケープで表示できなくなったか』・・・です。これだから素人は困 ります。IEとNNがこれだけ歩み寄った状況で、NNに表示させないと言う超高等テク ニックを理解してくれません。しかたなく担当者は注意書きを加えます・・ ・・『当ホームページはインターネット・エ クスプローラ専用です』と。 注記:誰が見ても(ってNNでは見 ることもできない)問題のあるページの事例として重宝していたのですが、残念ながら、2003年 5月頃、NNでも7〜8割の情報が表示できるようになってしまいました (^^ゞ。 |
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興味はなくとも目の前にパソコンがあると、Netを徘徊する事もあります、 ほかにする事も無いし。Webアクセシビリティ・・・新しい言葉を発見しました。色々 な問題点が指摘されていますが、手始めに旧型機種の画面サイズ対策を取ります。 情報量が減ったり判り難くなっては意味がありません、本末転倒です。 当然、文字ポイントを落として内容・構成とレイ アウトはそのままで横幅をVGAの640ピクセルに対応させます。文字が小 さく読み辛くなりましたがそれは些細な問題、より広い視点でアクセシビリティ対策は一 歩前進しました。 |
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ITとは直接関係ありませんが、彼らは税金で購入した備品を大切にします。 停電で壊れてしまわない様に、午前9時に職 員が出勤してからインターネットサーバーの電源を入れ、午後5時に電源を切ってから職 員は帰ります。 無人の休日に電源ONのまま放置するなんて無謀なことは絶対しませ ん。夜中や休日に自宅からアクセスしたいと言う 不埒者のために、大切な備品が壊れたら大変です。トップページには開館時 間、休館日そしてインターネット運用時間がきちんと表示されています。 残念ながら後を引き継いだ担当者の意識が低く、サーバーの電源を24時間入れっぱな しにしてしまいました。前担当は転勤先で心を痛めていることでしょう。 注記:この当時、1998〜2000年頃の リース価格と購入価格を天秤にかけ、IT関連デジタル機器が生鮮食料品にも等しい事を 勘案すれば、購入するのは税金の無駄でした(‾_‾メ)。 |
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あるとき自治体のIT担当者が『生鮮食料品にも等しいIT関連デジタル機 器はリースが適当である』と、気が付きました。税金は有効に使用するべきですか ら、IT関連デジタル機器はどんなに安くても、購入禁止、すべてリースです。 リースに保守管理は必須ですから、大手メーカ ーの高価なパソコンに定価の2〜3倍のリース料(期間トータル)を支払いま す。これなら購入の場合と違いハードの陳腐化を防ぐ事ができます、5年リ ースですが・・・ 注記:2000年以降の実売価格の大暴 落で、購入して2年毎に総入換えしてもリースに比べれば割安で、廃棄ではなく福祉施 設などに提供できれば一石二鳥です。それこそパーツを購入して『施設オリジナル』を 組み立てれば常時最新スペックで使用しつづけても、リース価格には遠く及びませ ん・・・タイミングずれの購入禁止令に何の意味があろうか (‾_‾;)。 |
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各施設のIT担当者は県のIT担当課と共に会議を行ない、住民の為に様 々な企画立案を行ないます。今日も会議で画期的な構想が打ち出されました。 一般には知られていないがすべてのインターネットは東京を経由しており、表面上は 県内の通信であってもネット全体のレスポンスに悪影響を与えている。また、県民全体が 負担する通信費も莫大であり、東京で災害が起こると県内の通信も隔絶する。 そこで、我が県は県内に専用通信網を敷設、県営 アクセスポイントを多数設置、広く県民に提供する。もちろん、不正なアク セスやウイルスなどから県民を守るため、県 内で完結する閉じたWebであり、既成のWWWebとは一線を画する。 完成した暁には内外から賞賛されるだろう、素晴らしい、と担当者の自慢ばなしは続きます。 注記:これは、県内にプロバイダが 存在せずほとんどがダイヤルアップの1995〜1996年頃の状況です。が、しかし、この構想 は昔話ではありません。2003年現在、現在進行形 で予算が付いています・・・我が県のIT担当課は本物の○○であると考え られます。 |
Up | まとめ・・・られません |
税金使って何でも外注、使い果したら『予算無いからできません』って・・・開いた 口が塞がりません、アゴの骨が外れそうです。税金 返せと叫びたくなります 凸(‾_‾メ)。 お前も仲間だろうって?違います、私は正規職員ではないので“魂はレンタル”です。ま だ悪魔に魂を売った覚えはありません (^^ゞ。 あ〜、くどいようですが、以上は私の妄 想で、いかなる組織団体とも関係ありません。仮に日本のどこかによく 似た事例があったとしても、それは偶然の一致です (^^ゞ。 おっ、アルコールが抜けてきました・・・、妄想をはなれ正気に帰ります (^_^;)。 もちろん、がんばっている施設と職員も存在し ます。事業規模の小さい町村立施設では、低予算が幸いし企業にたかられる 事も無く、少ない予算を有効に活用するために、職員が勉強会を持ちホームページの作成 運営にあたっている事例があります。予算が付かず公式ホームページを持てなかった施設 で、職員有志が個人ページを開設し半公式ページとして活用している例もあります。 また、やわら社協(谷和原村社会福祉協議会)の ように、予算も知識も無くてもボランティアを募って運営している施設もあります。 要は意識とやる気の問題です。予算がなければ自分で頑張る、得意でなければ人を探 す、本当に必要を感じていればそれが当たり前では無いでしょ うか?そんな頑張る施設とページを私は応援しま す (^_^)/。 |
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